
事例・コラム
「遺言書があれば大丈夫」と思っていませんか?
実は、遺言書だけではカバーできない大切な手続きがいくつもあります。
たとえば、葬儀や病院の支払い、公共料金の解約、家の明け渡し…。
これらはすべて、「死後事務」と呼ばれるものです。
そして、こうした手続きを信頼できる人に生前にお願いしておけるのが「死後事務委任契約」です。
どちらも生前に意思を残し、亡くなった後にその内容に沿って手続きを進めるものですが、目的と役割が大きく異なります。
まず「遺言書」で有効なのは主に財産の分け方(相続や遺贈)に関することで、それ以外の内容には法的な効力を持ちません。遺言執行者は、財産分与以外の事柄には関与できないのです。
一方で「死後事務委任契約」は、葬儀や医療費の支払い、住居の片づけなど、亡くなった後の“事務手続き”をお願いするための契約で、財産の分け方を決めることはできません。
そのため、亡くなった後のことをしっかり備えるには、「財産の相続のこと」は遺言書で、「事務手続き」は死後事務委任契約で、両方を準備するのが理想的です。
死後事務委任契約は、遺言書とは異なり、契約として依頼者の生活実態や希望に合わせて幅広い事項を盛り込むことが可能です。具体的には、次のような内容が考えられます。
亡くなった後に必要となる事務手続きは多種多様にわたります。
財産の分け方は「遺言書」で。
事務手続きは「死後事務委任契約」で。
この2つを備えておくことで、残される方の負担を大きく減らすことができます。
特に、おひとり暮らしの方やご家族が遠方にいらっしゃる方、頼れる人がまわりにいないという方には、死後事務委任契約を“専門家に依頼できる”という点も大きな安心材料になります。
「自分にもしものことがあったら…」と少しでも気になることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。