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生前の財産管理からその先の承継まで─遺言だけでは足りない?家族信託という選択

コラム20

最近は、家族信託という言葉を耳にして「遺言と何が違うの?」とご相談いただくケースが増えています。

遺言も家族信託も、ご自身の財産を「想い通りに引き継ぐ」ための大切な仕組みですが、実は効力の発生時期や適用範囲が大きく異なります。
このコラムでは、バトラーとしての実務経験をもとに、それぞれの違いと上手な使い方をわかりやすくご紹介いたします。どちらを選べば安心か。遺言と家族信託、それぞれの違いを正しく知ることが、はじめの一歩です。

遺言は「亡くなった後」のための仕組み

遺言は、遺言者が亡くなった時から効力が発生します。
つまり、生きている間の財産管理には効力がないという点が特徴です。

たとえば、認知症を発症し判断能力が低下した場合、遺言ではそのときの財産管理に対応できません。
あくまでも「亡くなった後に誰にどの財産を渡すか」を定めるものです。

家族信託は「生前」から効力が発生します

それに対して、家族信託は契約を結んだその日から効力が発生します。

たとえば、親が自分の財産を子どもに信託すると、以降は子どもが財産管理や処分を行うことができます。
親が認知症になった後も、子どもが継続して財産を管理・処分できるのが大きな特長です。

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✅相続税対策

こうした生前の意思決定や対応を、あらかじめ家族に託しておけることが、遺言との決定的な違いです。

家族信託は「遺言の代わり」にもなり得ます

さらに家族信託では、財産を誰に承継するか(帰属権利者)を契約時に決めておくことができます。
これにより、亡くなった後の財産の承継先をあらかじめ明確に指定することができ、実質的に遺言と同様の機能を持つことになります。
ただし、信託の対象となっていない財産には効力が及ばないため、家族信託と遺言書を併用して備えるケースもあります。

家族信託なら「何代にも渡る承継」も可能です

通常の遺言では、自分の次に財産を相続させる相手(たとえば長男)までしか指定できません。
「長男の次に、その子どもへ」というような二次・三次承継までは遺言では対応できません。
ところが家族信託では、「長男が亡くなったら次男へ、その後は孫へ」といったように、受益者を複数代にわたって指定することが可能です(※信託法の制限あり。信託法第91条により、信託設定から30年経過して2回受益者が死亡するまでとなります)。
これを「受益者連続信託」と呼びます。

✅代々の財産を守りたい
✅家族以外に財産が流出するのを防ぎたい
そんなご希望を叶える手段として、家族信託は非常に有効です。

遺言と家族信託、どちらが優先されるの?

よくあるご質問として、
「遺言を書いたあとに家族信託を結んだら、どちらが優先されるのか」というものがあります。
答えは、家族信託が優先されます。
なぜなら、遺言が民法という“一般法”に基づいているのに対し、家族信託は信託法という“特別法”に基づくため、原則として家族信託が優先される仕組みとなっています。
たとえば:

✅遺言を書いたあとに家族信託契約を結んだ場合 → 信託契約が優先
✅家族信託契約を結んだあとに遺言を書いても → 信託財産には遺言が効かない

信託財産に組み込まれたものは、すでに本人の財産ではなくなるため、遺言で改めて指定してもその部分は無効になります。

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担当バトラーからひとこと

家族信託と遺言、どちらが良いという正解はありません。大切なのは、「いつから」「どのように」「誰に」「何を」託したいのかという、ご本人とご家族の想いです。東急ラヴィエールでは、バトラーと法律・税務の専門家がチームを組み、お一人おひとりの状況に合った、最適な備えをご提案しています。「難しそう」「まだ早いかも」と思われている方も、ぜひお気軽にご相談ください。“今だからできること”を、私たちが一緒に整理してまいります。

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